2010年04月19日

外国人看護師の受け入れ自体は結構だが

日本では看護師や介護士が不足している一方、東南アジアでMADE IN JAPANを売りさばきたいので、インドネシアやフィリピンから研修生を受け入れて介護士とか看護師になって働いて貰い、そのかわり母国で日本の工業製品の関税まけてね、という制度があります(実際は日本側も一部の農作物の関税障壁を撤廃するなど、広範な相互協力協定ですが)。

しかし、実際に日本に来た外国人研修生にとって日本語というハードルは極めて高いようで、合格率が惨憺たることになってしまい制度の実効性が問題になりかかかっているんだとか。俺は外国人看護師の受け入れ自体には賛成する一方、この制度には大反対で、政府は馬鹿なことをしたもんだと常々思っているのですが、自民党政権時代の失政を糊塗したいんだか、それとも協定が破棄されて関税が復活してお企業様の利益が減っては一大事なのか 「試験問題なんて英語や母国語でよくね?」とワケわかんないことを言い出しているのが自民党の先棒担ぎにして財界御用の自称全国紙、産経新聞です。

試験にしても、まずは暫定措置として、試験問題の漢字にルビを振ったり、問題自体に母国語訳を付けたりすることも検討されていい。 英語の試験問題を作ることも考えられよう。要は知恵を絞ることが大事だ。

……いや、この外国人研修生って、日本の看護師資格を取ったら日本の医療機関で看護師として働くんでしょ?それなのに母国語や英語で出題した問題を回答できれば良いんですか?

俺だって「褥瘡(じょくそう:床ずれ)」「誤嚥(ごえん:飲み込んだ食べ物が食道ではなく気管に入ること)」「痂皮(かひ:かさぶた)」みたいなややこしい言葉を使うのが良いとは思っていませんが(高校時代、現代文の授業で文系コースの連中を尻目に難読音訓を総まくりで正解して「理系の癖に何で読めるんだ」と顰蹙を買った俺だって、読めはしても書けないもん)、現場ではフツーに使ってるわけですよ。医師と看護師の皆さんに「褥瘡」「誤嚥」「痂皮」の代わりに「床ずれ」と、……「誤嚥」って平易な一語に言い換えると何?(←という風に医療な専門用語には日本人でも頭を抱えるわけです)……と、「かさぶた」を使いましょう、と徹底した上で、今後は「褥瘡」「誤嚥」「痂皮」などを使わないことになりましたから試験の問題も平易な日本語で出題しますという筋書きなら大歓迎です(専門用語の難解さが低減されるのは患者にとってもプラスですし)。さらに、母国で看護師資格を持ってる人には日本語の検定に合格するだけで日本の看護師資格を認定する制度の導入には諸手を挙げて賛成します。しかし「誤嚥」「褥瘡」「痂皮」がポンポン飛び交ってる現場に、それらが理解できない外国人看護師を養成して送り込んで受け入れられますか?「外国人お断り」で門前払いを喰らったり、もしくは「そんなことが分からなくても低賃金で使えれば構うもんか」と劣悪な待遇で雇用されたり、患者が受ける医療サービスの質が低下したりしませんかね?

先日、英語が分からないという理由で客室乗務員が外国人の旅客機パイロットの呼び出しをシカトした件で航空会社のスカイマークが国土交通省から叱責されてました。「日本語が分からなくても良いじゃない」なんて言ってると、同様の理由でナースコールをシカトする外国人看護師が出て来かねないのでは?と危惧してしまいます。日本語の研修を強化するとかカリキュラムを見直して合格率を上げるのではなく、資格認定のハードルを下げて水増しした合格実績で一体誰が得をするんですか(……言うまでもなく関税撤廃で儲けてる企業ですね)。

「暫定措置」というのもちゃんちゃらおかしい理屈です。「医療現場の改革で平易な言葉を使うようになるまでの暫定措置」というお題のどこをどうひねくれば「日本語が読めなくても資格が取れるようにしましょう」と思いつくのか理解不能です。それとも、すでに現場で働いている医師・看護師や、ひょっとしたら俺達患者も「暫定措置」としてタガログ語や英語を話せってことでしょうか?

この件に関して「看護師不足の現状を打開するには外国人を入れるしかない(キリッ」とか言ってる人もいますが、そもそもなぜ看護師がが足りないかというと、早い話が「資格を取って看護師や介護士になっても、こんな低賃金と過重労働では食っていけない」と日本人の有資格者が蜘蛛の子を散らすように逃げ散っちゃってるからです。この状況を放置したまま低賃金の外国人看護婦を入れてご覧なさい。外国人看護師に合わせて日本人看護師の賃金もさらに引き下げられみんなが不幸せな美しい医療現場が一丁上がりです。

「外国人看護師受け入れ」自体は大いに結構ですが、受け入れるのは「日本人看護師と同じ能力を有し、同じ待遇で扱われる」外国人看護師であるべきで、さらに現状の看護師・介護士の給与は低すぎるので日本人・外国人の区別無く是正しなければなりません。 産経が主張するように、ゆるい試験で有資格者を水増しするのは結局「国益」を損なうことになるんじゃないですかね。もっとも、産経においては国民益と国益は往々にして対立するものらしく、一体どこの国の新聞なんだか実に悩ましいところですが。日本国においては憲法で「国民主権」が定められているんだけどなぁ。

posted by あぐりこら at 17:05| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
去年の記事にコメントするのもなんですが・・・
外国人看護師の在留期間も撤廃されたし、英語つきの試験になったし。
どんどん、条件が取り払われていきますね。
じわじわと。
日本語で病名が解らぬ看護師とはいやはや・・滅茶苦茶な話だ。
そのうちふりがなつけたり、日本の看護師に専門用語禁止令が出たりして。
日本人はどうしてここまで看護師を馬鹿にするのでしょうか?
これが自分たち国民、誰もがなりうる患者という立場を悪くしていることに、どうしてだれも気がつかないのでしょうか。
Posted by もう滅茶苦茶 at 2011年01月21日 16:35
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