2010年04月11日

今ならブッ○オフで100円です

マイケル・ムーアの「アホでマヌケなアメリカ白人」(原題"Stupid White Men")は10年ちかく前の本ですが、 驚くべきことにちっとも内容が古びていません。今なら新古書店などで山積みになって叩き売られてますので、 まだ読んだことがない方は購入して読んでみるといいのではないでしょうか。 もっとも、内容が古びないのはマイケル・ムーアの功績ではなく、アメリカが相変わらず「アホでマヌケ」だというトホホな理由なんですが。

この本に関しては「初版刊行後の補遺」が公開されています(邦訳本にも収録されています)。 題名は「9.11テロについて使い捨てライターが教えてくれること」、 原題は"What Does a 99-cent Bic Lighter Tell Us About the Bush War on Terrorism?"、 直訳すると「99セントのビック(会社名)のライターは、ブッシュの対テロ戦争について俺達に何を教えてくれるのか?」です。

この文章ではマイケル・ムーア(メンドクサイので以後「マイク」)が2001年9月11日以降 どのような日々を送ったのかが書かれているのですが、これによると9.11の直後は空港が全面閉鎖されてしまい、 太平洋岸のロサンゼルスにいたマイクは$1,700でミニヴァンをレンタルし、 奥さんとともにニューヨークの自宅まで3000キロのアメリカ横断ドライブを敢行したようです(おいおい……)。

飛行機の運行が再開した後、航空会社は大急ぎで「テロ対策のため機内持ち込み禁止」の 持ち物リストを作ったそうで、それによると「銃」「ナイフ」という至極当然な物から 「爪切り」「編み針」「かぎ針」「ドライアイス」などの「どうやってテロに使うんだろう?」と素人は疑問に思ってしまうものまで 様々なアイテムが持ち込み禁止になった模様です(ちなみに邦訳には記載漏れ?があります。落ち葉を吹き飛ばす"leaf blower"がありません)。 しかしマイクは所持品検査コーナーで奇妙な光景を目にします。

(略)X線の機械を通すためにポケットの中のものを残らずあのプラスティックのトレイに出している奴等が、時々、ガスライターや紙マッチをトレイに投げ込み、 向こう側でまた拾い上げている―そしてその一部始終を、セキュリティが監視しているんだ。最初、俺は何かの間違いかと思った。でも、後で御禁制品のリストを 隅から隅まで見直しても、確かにガスライターや紙マッチは持込禁止物品の中に入っていない。
そうこうするうちに、2001年12月22日がやってきた。パリ発ボストン行きのアメリカン航空に乗ったリチャード・リードという男が、 マッチで自分の靴に火をつけようとしたんだ。警察によれば、彼の靴にはプラスティック爆弾が入っていた。もし、これを見た乗客や乗務員がとっさに止めなかったら、 飛行機は空中で大爆発を起こしていただろう。だが、火がつくのに時間がかかったために、全員無事に生き延びることができたという。
このとんでもない事件の後、当然ながらライターやマッチは持込禁止になるものとばかり思っていた。が、2月に本のプロモーションツアーをやった時も、 依然として乗客は99セントの使い捨てライターや紙マッチを機内に持ち込んでいるじゃないか。 俺は手当たり次第にセキュリティを捕まえては、何だって飛んでる飛行機に放火できるようなものを機内に持ち込ませるのか、と訊ねて回った。 現にリードの事件が起きているじゃないか。だが、当局の人間も、あるいは空の自動小銃を持った人間(あぐりこら註:空港で警備をしている州軍のにーちゃん)も、 誰一人として俺の質問に答えられなかった。俺の質問は簡単なもんだ―どんな飛行機も完全禁煙なのに、いったいどういうわけで、3万フィート上空でマッチやライターが 必要なんだ―この俺も乗ってるってのに!?
あと、9.11以降。実際に飛行機を爆破する目的で使われかけたものが、なぜ持込禁止にならないのか?ジェット・ブルーの機内で、爪切りで人を殺そうとした奴なんて 一人もいないんだぜ?
でも、アメリカン航空63便の機内で、ガスライターを使って200人からの人間を殺そうとしたサイコ野郎は現実に存在しているんだ。(略)

この状況に疑問を持ったマイクは、本のプロモーションツアーで聴衆にもこの質問をぶつけまくり、ヴァージニア州アーリントンの「オルソン書店」で ついに戦慄すべき解答を得ることになります。

(略)トークの中でこの使い捨てライターに関する疑問をクチにした後、俺は列をなす人々の前に座って本にサインしていた。ひとりの若い男がテーブルに近づいてきて、 自己紹介し、そして声を潜めて次のように言った。
「私は議会に勤めています。実はガスライターは、FAA(連邦航空局)が作成してホワイトハウスに送った禁制品の原案の中にはちゃんと入っていたんです。 ところが、タバコ業界がブッシュ政権に圧力をかけ、ライターとマッチを持込禁止リストから外させたんです。彼らのお得意様(ニコチン中毒者)は、 飛行機が着陸するやいなや、喫いたくてたまらなくなるんです。空が安全である限り、そういう人を罰することはできません」
かくして、ライターとマッチは禁止リストから外された。

さて、以上を踏まえて「テロ騒ぎで戦闘機も出動 カタール外交官が機内でたばこ - MSN産経ニュース」 を見てみましょう……この既視感は何?「補遺」が発表されたのは10年近く前なのに「靴爆弾男」およびその亜流連中に対して何一つ対策を講じてこなかったわけか。 本邦の宗主国様の放火魔・テロリスト・ニコチン中毒者への思いやりには感服しますね。

タグ:トンデモ
posted by あぐりこら at 17:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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