今年は横浜開港150周年だそうで、海っぺりでは何ぞイベントが行われている模様です。当方はネイティブの神奈川県民ではあるのですが、横浜に出るより新宿に出た方が楽な土地に住んでいるので、横浜で催されるイベントにはほとんど縁がありません。15年以上も前、ボーイスカウトだった時分に横浜万博に動員をかけられた記憶とか、これまた15年以上も前に中学校で合唱部に入っていた頃に合唱コンクールで横浜の県立音楽堂に行った記憶がかろうじて残っているくらいです。ランドマークタワーには一度しか行ったことがなく、中華街も一度しか行ったことがなく、レインボーブリッジは電車の車窓から眺めたことしかないなど、我ながら同じ県に在住とは思えないくらい疎遠です。
さて、横浜開港150周年記念の開国博覧会「Y150」について、産経新聞横浜総局長が「【from Editor】見込み違いの「Y150」 - MSN産経ニュース」なるコラムを書いています。論旨については(前述の通り横浜とは疎遠で判断材料が絶無なので)評価を保留しておきますが、それ以前の問題でお馬鹿さんな文を発見してしまいました。
小さな寒村だった横浜村がペリー来航によって変貌(へんぼう)していく様子は、それだけでも興味深い。黒船に日本人は慌てたが、横浜の発展ぶりをみると、「たった四杯(四隻)で夜も眠れず」という太平の眠りは一晩か二晩で、後は、したたかに適応したことがわかる。
幕末に黒船が来航した際「太平の眠りを覚ます上喜撰 たった四杯で夜も眠れず」という狂歌が詠まれたことは中学の歴史の教科書(もしくは副読本)に必ず出てくる超有名なエピソードです。この歌にいう「上喜撰」は「上等のお茶」という意味だけど、実は「蒸気船」にかけた洒落で「黒船」を暗に示しており、表向きは「庶民の俺は上等のお茶なんて飲みつけないから、たった四杯飲んだだけでカフェインがテキメンに効いちまって夜眠れねぇや(苦笑」という意味だけど「たった四隻の黒船が来航しただけで300年続いた徳川幕府が大混乱だぜ(嘲」というウラの意味があるんだ、という解釈は中学校の社会科の授業で教わったと思います。しかるに産経新聞・横浜総局長殿のお書きになった文と来たら……意味が通じるように補完してみると、こうなりますかね。
小さな寒村だった横浜村がペリー来航によって変貌(へんぼう)していく様子は、それだけでも興味深い。黒船に日本人は慌てたが、横浜の発展ぶりをみると、「たった四杯(四隻)」の「上喜撰(蒸気船)」で太平の眠りを覚まされたものの「夜も眠れず」慌てたのは一晩か二晩で、後はしたたかに適応したことが分かる。
一般教養レベルの日本史がトンチキなのか日本語がトンチキなのか知りませんが、引用したようなお粗末な文を書くのは義務教育を修了した社会人としていかがなものかと思いますし、掲載前に然るべき部署がきちんと校閲……って、産経か。