科学という学問においては原因と結果の関係をきちんと見抜く技術が絶対的に必要なのですが、どうやら「戦後教育」とやらではこの技術の習得を一貫して怠ってきたようですね。「asahi.com(朝日新聞社):出火時、母親「パチンコに」 千葉、子ども3人死亡 - 社会」というニュースと、くだんの母親をバッシングするネット世界の住人を見ていてつくづくそう思ったことでした。
千葉県松戸市常盤平7丁目の常盤平公団住宅で6日に無職田之口舞さん(23)方が全焼し、子ども3人が死亡した火災で、松戸東署に対して田之口さんが出火当時、「パチンコに行っていた」と話していることが7日、同署への取材で分かった。田之口さんは当初、病院に行っていたと説明していたという。
同署によると、田之口さんは6日午前から近くのパチンコ店に出かけ、いったん帰宅して子どもたちにミルクや食事を与えた後、午後3時すぎ、再びパチンコ店に出かけたと説明しているという。
この事件の原因は母親がパチンコに出かけたことではありません。一度食事のために帰宅したとはいえ乳幼児だけを自宅に残して長時間外出したことこそが原因で、外出の目的は直接は関係ないのです。
どうしても「火事が起きたのは母親がパチンコに出かけたからだ」と思いたい人は「火災が元日に発生し、母親が新年一般参賀のために皇居に出かけていたら、外出の目的を理由に母親を糾弾できるか?」と思考実験をしてみればいいと思いますよ。そういうシチュエーションでは非国民でサヨクでゲスな俺は「火事が起きたのは子供をほったらかして新年一般参賀に出かけたからだ!酷い母親だ!これだからアホウヨは!!」と嬉々として母親を糾弾しますけど(というのはもちろん冗談です)、それに対して「こんな不幸な事件を愛国者叩きのプロパガンダに利用するとは、なんてゲスな非国民だ!」と思いませんか?それと同じなんですよ。
母親だって人間ですから遊びに行きたいことだってあるでしょうし、遊びでなくても外出しなきゃいけない用事はいくらでもあります。一人で外出したい/しなければならない母親に対して、子供を一時預かるなどの子育て支援を行う社会のインフラが未整備なことこそが問題であり、今回の事件はたまたま母親がパチンコで遊んでいた時に、火災による子供の焼死という形で問題が表面化したに過ぎません。それなのに「子供ほったらかしてパチンコに出かけてんじゃねーよ」などという上っ面をかすめただけの母親バッシングにかまけている人間が大勢いるようでは、母親が買い物に行ったり生活費を下ろしに銀行に行ったり仕事に行ったり、そしてもちろんパチンコ屋に行ったり新年一般参賀に行っている間に、自宅に残された乳幼児が事故で死んでいく状況は今後も変わらんことでしょうね。
このエントリは「非国民通信」のエントリ「遊んじゃダメなの? - 非国民通信」およびそのコメント欄のkuronekoさんの「これがパチンコでなく、新しい歴史教科書をつくる会の集会だったら、警察が発表したかな、と思う新年の一日。」というコメントにヒントを得て書きました。非国民通信管理人さんとkuronekoさんにはお礼を申し上げます。ありがとうございました。


